オーツェイド株式会社は、群馬県高崎市に拠点を置く小規模な音響メーカーです。しかし、私たちの手で全ての工程をコントロールできる「小ささ」は、妥協なく理想の音作りを追求するための大きな武器でもあります。当社は自らを“セラミックの魔法使い集団”でありたいと思っています。圧電セラミックという特殊な素材を音響に応用し、常に独自のテクノロジーと感性で新しい音の世界を提案してきたからです。

私がイヤホン開発に取り組むきっかけとなったのは、自分の息子たちの存在でした。彼らが学生だった頃、日常的にスマホに百円ショップのイヤホンを接続して音楽を楽しんでいる姿を見て、強い危機感を覚えました。「それで十分」「趣味にお金をかけられない」という彼らの言葉を聞いたとき、私は気づいたのです。コストパフォーマンスの観点で“良い音”の文化が途切れつつある現実に。
私の青春時代は「オーディオの黄金期」と呼ばれた時代。JBLやTANNOYの音に胸を熱くさせ、バイト代で高級コンポを手に入れた世代です。しかし現代の若者が出会う音は、スマホ、百均イヤホン、圧縮音源といった低解像度の組み合わせが蔓延。このままでは長年築かれてきた日本のオーディオ文化の継承が危ぶまれる、そのように感じました。
そこで私は「若者でも購入でき、かつオーディオマニアも納得するイヤホン」を作ることを決意し、2017年に『intime』ブランドを立ち上げました。圧電セラミック素子を活かしつつ、その癖を抑えるVST(Vertical Support Tweeter)を考案し特許化。これにより誕生した初代モデル『intime 碧』は、低価格帯ながら高解像度と伸びやかな音場を実現。多くのユーザーの支持を得るブランドへと成長しました。
その後も、私たちは小さな工房ながら挑戦を続けています。

⚫︎ eイヤホン年間販売台数1位の『碧Light』
⚫︎ NHK全国放送で取り上げられた特徴的なイヤホンづくり
⚫︎ Made in Japan のIEMブランド『Maestraudio』の誕生
⚫︎ クラウドファンディング『Makuake』にて総額3,000万円超の支援獲得


これらの実績は「音の感動を届ける」という信念と、技術開発へのこだわりが結実したものです。
そして今回、イヤホン文化を次のフェーズに進めるための製品──nOmaDAC(ノマダック)を開発しました。
これは、スマホ1台で“本気の音”に触れる喜びをもっと身近にするために生まれた、バランスケーブル一体型USB/DACです。USB-Cポートに直結し、お持ちのリケーブルイヤホンをつなぐだけで、まるで音が解き放たれたような純度の高いバランス再生が手に入ります。
さらに、無線では味わえない“音が途切れない安心感”“遅延の無い一体感”もそのまま。音が耳に届く瞬間まで一直線に繋がる、あの“確かさ”を大切にしました。

リケーブル入門者にとっては新しい世界への入口に、そしてハイエンド愛好家には“軽装でも音を妥協しない相棒”として機能する——まさに、あなたと音の世界を結ぶ“架け橋”です。私自身が、かつて息子のためにイヤホンを設計したように、今回のnOmaDACも「次世代へ音の感動を繋ぐ」という使命と挑戦のもとで開発しました。
小さな工房の職人として、技術者としてそして音を愛するひとりの父親として。
この挑戦を、ぜひ見届けてください。皆様の応援が、新しい音の楽しみ方の未来を切り開きます。
私たちはこのnOmaDACを通して、“スマホだけで本気の音を楽しめる世界”を実現したいと考えています。そのために、nOmaDACは3つの要素に拘りました。
1.――32bit/384kHzのデュアルアンプを搭載/高性能DAC部
nOmaDACの音質的核となるのは、デジタル信号をアナログへと変換するDAC(Digital to Analog Converter)部分です。このDACこそが、「スマホ再生」という限られた環境の中で、高級オーディオ機器にも引けを取らない音響表現を可能にした心臓部です。
一般的なスマートフォン内部のDACは、省電力設計やコストを優先しており、その性能は音場の広さや定位感、解像度といった音質面で限界があります。一方、nOmaDACでは、据え置き型の高級機器にも採用される32bit / 384kHz対応の高性能DACチップを採用。この選定は、DAC専門サプライヤとの綿密な技術協議を重ねた結果でもあります。
さらに、このDACの出力を支えるアンプ構成にも大きな特徴があります。左右それぞれの信号を独立制御する“左右独立のバランスアンプ構成”を採用することで、音の定位が明確になり、空間表現が格段に向上。特にボーカルの像が中央にクリアに浮かび上がる「スタジオ的な定位感」や、背景の静寂感は、この構成が生む大きな恩恵です。
また、nOmaDACは単に高性能なDACチップを載せた製品ではありません。その実力を最大限発揮させるため、DACサプライヤの開発チームの力を借りて、DAC基板のレイアウト自体を最適化するというアプローチを採りました。ここでは、
⚫︎ デジタル信号系とアナログ領域の徹底した分離
⚫︎ 電源ラインの強化と安定化
⚫︎ 帰還ループの最小化によるクロストーク抑制
⚫︎ GNDプレーン(基板の基準面)の調整によるノイズ干渉の排除
といった高密度設計を行っています。

これらの工程一つひとつに、当社エンジニアとDACサプライヤとの連携による試作・検証・改良が積み重ねられており、結果として「スマホ直結では到達できない音質レベルの達成」に成功しました。
ケーブルとDACを別々に構成する旧来のリケーブル文化でも、ケーブルレスのドングルDACでも再現できない、
―― nOmaDACだけが持つ“高解像度と静寂感に満ちた音場”。
それは技術的な積み重ねから生まれた「ミニマルとハイエンドの融合」です。
2――選べる仕様の自由度 “自分の音”に合わせてカスタマイズできるnOmaDAC
nOmaDACの最大の特徴のひとつ――
それは、ユーザー自身が“音のキャラクター”を選択できる自由度です。
本製品では、DAC(デジタル・アナログ変換部)は音質最優先で固定設計していますが、ケーブル素材とイヤホン側の接続プラグについては「ユーザーの好みや手持ちの環境」に合わせて選べるようになっています。

■選べるケーブル素材:2種類の「音の個性」
nOmaDACは以下の2つのケーブル素材を用意し、それぞれ音響特性が異なります:
⚫︎ Pure PCUHD(ピュア銅)導体
→ 音に“艶と厚み”を持たせる自然な響き。豊かな中低域と音場の広がりが特長。
⚫︎ Pure PCUHD+銀コート導体
→ 高域の粒立ち・情報量が圧倒的。キレとスピード感のある現代的な音。
詳細は後述しますが、音楽ジャンルや音の好みに合わせて選べる構成です。
「音そのものがカスタマイズできるDAC」という点が、従来のUSB-DACと大きく異なるポイントです。
■選べるイヤホン端子:3種のプラグで“手持ちのイヤホンを活かす”
さらにnOmaDACでは、イヤホンとの接続端子も以下の3種類から選択可能です:
⚫︎ 高音質・高剛性で評価の高い Pentaconn Ear(4.4mm情熱派向け)
⚫︎ 汎用性の高い MMCX(Shure、intimeなど多くのメーカーが採用)
⚫︎ 近年存在感を増す 2pin(カスタムIEMやハイエンドイヤホンに多数)
先行するリケーブル市場の歴史と今のトレンドを踏まえたうえで、
「どんなイヤホンでも、必ず“最高の音”を引き出せる構成」を目指しました。
そして、このケーブル素材 × 接続端子の組み合わせは6種類に及びます。
クラファンとしては少し珍しいかもしれませんが――
「自分のイヤホンにぴったりの一本を選ぶ喜びも楽しんでほしい」
そんな想いを込めて、仕様選択の幅を持たせています。



3―― PCUHDと銀コートPCUHDがもたらす“音の描写力”
nOmaDACは「バランスDACとケーブルが一体化した」新しいスタイルのデバイスです。
そのため、ケーブル素材は単なる配線材ではなく音質を支える重要な音響デバイスといえます。
今回、nOmaDACには高純度銅線「PCUHD(Pure Copper Ultra High Drawability)」を採用し、さらにもう一つの選択肢として、そのPCUHDに高純度銀メッキを施した“銀コートPCUHD”をラインナップしています。
■ PCUHDとは何か?その技術背景と音響効果
PCUHDとは、古河電工が開発した“超高延性純銅”であり、素材の段階から不純物を極限まで排除した高純度銅です。
一般的なOFCケーブルと比べると、銅結晶の粒界(グレインバウンダリ)が少なく、信号の通り道となる金属の結晶構造がより均質化されています。これにより、
⚫︎ 微弱信号の損失が少ない
⚫︎ ハーモニクスの再現性が高い
⚫︎ 歪みや濁りが抑制される
という特性を持ち、“音の密度感”と“滑らかさ”を併せ持った自然なサウンドが得られます。

具体的には、ボーカルやアコースティック楽器などの中域に豊かさをもたらすと同時に、低域は柔らかく沈み、よりサスティーンの効いた音になります。音場としては横に広がるような空間が再現され、包み込まれるような厚みが感じられます。まさに「音楽を味わうための素材」と言えます。

■銀コートPCUHD:高解像度で立体的な描写力を持つハイブリッド導体
もう一つのケーブルとしてラインナップしているのが、“Pure PCUHD+銀コート”です。
これはPCUHDの純銅に、数ミクロン以下の厚さで高純度銀をメッキコーティングしたもので、高周波信号が伝わるケーブル表層に銀の伝導特性を持たせた構造です。
高周波信号は、素材の表層(スキン)を流れるという「スキン効果」に従うため、銀コートを施すことで、高域の伝送性能が大幅に向上します。
その結果として、
⚫︎ 高域の解像感が向上
⚫︎ 空気感・倍音の情報量が増加
⚫︎ 音像の立ち上がり、輪郭がよりくっきりと表現される
といったリスニング特性を実現しています。
音場は広く、奥行き方向に空間が伸び、透明感と緊張感を孕んだ音調に仕上がる傾向があります。

銀は金属の中で最も導電率が高い素材(106% IACS)です。
その銀を銅表面にコーティングすることで、信号が流れる主要経路(導体の表層部)の伝送効率をさらに高めることができます。

■音響特性の違いが生む“音のキャラクター”の変化
PCUHDに高純度銀をコートすることでケーブルの電気的特性は変化し、それが音響表現にも明確に反映されます。具体的には、銀コートによって高域側の信号伝送ロスが低減され、高周波成分の再現性が向上します。その結果、音の重心がわずかに上がり、全体に明瞭でスピード感のある音になります。
この特性は、ストリングスやシンバルなど高域に倍音が多く含まれる楽器で顕著に表れ、音の伸びや空気感が豊かに描写されます。また、バランス接続による左右の独立駆動と相まって、左右定位がよりクリアになり、音像の見通しが良くなるのも特徴です。
音場においては、厚みや密度よりも透明感と情報量が際立ち、全体として解像度が高く精細な印象へと変わります。すなわち、Pure PCUHDが「濃密で滑らかな音」を志向するのに対し、銀コートPCUHDは「精密で緻密、スピード感に富む音」を実現する素材と言えます。
■nOmaDACで選択できる2種の「音の個性」
nOmaDACでは、音響傾向の異なる2種類のケーブル素材を選択できます。

⚫︎ Pure PCUHD:中低域に厚みと艶があり、音場は横方向に広がる傾向。ボーカルやアコースティック楽器が心地よく響く、自然で音楽的な音が特長です。
⚫︎ Silver-Coated PCUHD(銀コート):高域の伸びや立ち上がりが鋭く、音像の輪郭がくっきりと描かれます。情報量が多く、現代的な解像度を追求した音源の再現性に優れています。
このように、ケーブル素材を選ぶことで音の個性そのものをコントロールできることこそが、nOmaDACに搭載された“ケーブル一体型バランスDAC”という新しい価値なのです。

――“スマホで本気の音を聴く”という新たなニーズに応えて
近年、ポータブルオーディオファンが集うイベント「ポタフェス」の会場で、明らかな変化が見られるようになりました。当社ブースで試聴する多くのリスナーが、かつてのように高級DAPを持参するのではなく、自分のスマートフォンを取り出し、その場でイヤホンを試聴しようとする姿が目立って増えてきたのです。

これは、特に若年層に顕著な傾向です。スマートフォンが日常的に最も使われる再生機器であり、YouTubeやサブスクで音楽を楽しむ彼らにとって、「音楽=スマホ」という構図はすでに当たり前のことになっています。そのため、「スマホで高音質を実現したい」というニーズが強くある一方で、DAPは高価で手が届きにくいと感じられています。
さらに、TWS(完全ワイヤレスイヤホン)の普及が進む中でも、音質面での不満を抱えるユーザーの声は少なくありません。Bluetooth伝送では、ハイレゾ音源の持つ情報量や空気感、余韻の美しさといった“本来の音楽体験”を完全に再現することは難しく、有線接続との音質差は依然として大きいままです。

一方で、ヘッドフォンやIEMを愛するハイエンド層からは、「外出時にバランス駆動の音が聴けないことへの苛立ち」や「ポータブル環境でも再現性や定位を妥協したくない」という声が挙がっていました。さらに、「ポータブルオーディオ文化が高価格化によって若い世代に届かず、このままでは未来へ継承されないのではないか」という危機感も共有されていました。
私たちは、この両者が三つの共通点で繋がっていることに気づきました。
「スマホで良い音を聴きたい」
「有線のほうが音が良いことは分かっている」
「ただしDAPやハイエンド機器を買う余裕はない(または持ち歩きたくない)」
そして、それに応える術を、当社は真面目に考えました。
圧電セラミックで培った高域制御技術、音響的ノイズを排除した基板レイアウト、ハンドチューニングのチームが支える緻密な製品づくり、そして導体素材の違いを音に反映するケーブル開発技術――こうした*“音を作る総合力”のすべてを凝縮し、スマホで完結する形にまとめ上げた製品、それが nOmaDAC(ノマダック)です。
nOmaDACは、“TWSでは決して辿り着けない音の深み”と“DAPやドングルでできなかったミニマルデザインの本気のバランス接続再生”を、スマートフォンに挿すだけで楽しめる新しい選択肢です。
この製品が、音を愛する若い世代にも、ハイエンドを知る玄人にも、そしてポータブルオーディオ文化を未来へ繋ぎたいと願う全ての人にも、“次の一歩”になることを願ってこのプロジェクトを立ち上げました。
オーツェイドが目指すのは、「スマホだけで本気の音を楽しめる未来」。
その実現のために、私たちは技術と情熱をこのnOmaDACに注いできました。この挑戦が、新しい音体験への入り口になることを願っています。どうか、ご期待ください。
オーツェイドの音づくりは、イヤホンブランド「intime(アンティーム)」の開発から始まりました。
当初は「ケーブルを変えても音は変わらない」と考えていましたが、自ら試して大きな音質変化を体感し、ケーブル開発にも本格的に取り組むようになりました。銀コート銅とOFC(無酸素銅)を組み合わせたハイブリッド線材などを採用し、音の質を制御できることを実証してきました。
その後、「Maestraudio」では編み込み構造の「BOOTES」「VIRGO」などを、クラファン限定モデル「夜桜」では同軸構造ケーブル「COAXUS」を開発。構造や素材ごとに異なる音響特性を持たせた製品で、イヤホン愛好家に新しい“音の遊び方”を提案してきました。

また昨今のスマホ再生の広がりを受け、当社ではTYPE-C接続の32bit/384kHz対応DACケーブル「Tsun銀u」を開発。軽量で持ち運びしやすく、スマホで高音質再生ができる利便性が好評でしたが、アンバランス出力のみだったため、さらなる進化を模索していました。
――「このDACをバランス構成にすれば、ミニマルで高音質な新しい提案ができるのでは?」
このアイデアから、今回の nOmaDAC(ノマダック) は着想されました。DACメーカーと共同で新規バランス基板を開発し、過去の経験を活かしたケーブル構造で音質を最適化。ケーブルとDACを一体化し、スマホで“本気の音”を楽しめるデバイスを完成させました。
nOmaDACは、私たちが培ってきた技術、経験、感性、そして文化を繋ぐ想い。
そのすべてを一本に凝縮したプロダクトです。
ご支援いただいた資金は以下に使用いたします。
⚫︎ DAC基板、ケーブル材の量産費
⚫︎ 金型・試作費・製造工賃
⚫︎ 測定・検品設備の調整
⚫︎ パッケージ製作
⚫︎ 最終音響調整・チューニング費用
皆さまの支援が、
「スマホで本当に良い音」
という新しい文化の誕生へとつながります。

バランスケーブル一体型USB/DAC nOmaDAC(ノマダック)希望小売価格 ¥21,450(税込)。
今回ミミゴトでは市場販売に先駆けて、超早割(各50本限定)、通常応援価格ともに大変お得な先行販売を実施いたします。



プロジェクト開始:2025年12月3日(水)正午
プロジェクト終了:2025年12月30日(火)23時59分
製品発送:1月末から順次
ポータブルオーディオファンのみなさん。
今、私たちは “音の未来” を選ぶ岐路に立っています。
スマホで音楽を聴く人は増え、テクノロジーも進化しましたが、
「良い音を日常に届けるプロダクト」は、まだ十分に存在しているとはいえません。
ハイエンド機材の素晴らしさも、裾野の広がりも――
どちらも愛しているからこそ、このまま“高すぎる音の壁”が出来てしまうのは、あまりにも惜しい。
nOmaDACは、「手持ちのイヤホンを本気で鳴らす」ことができる最小の舞台です。
高性能DAC、左右独立アンプ構成、こだわりのケーブル選択、スマホ直結。
このサイズに込めたのは、オーディオの未来をつなぐ情熱そのもの。

どうかこの挑戦に、あなたの耳と心で共感してほしいです――
想いと技術をひとつに詰め込んだこのプロジェクトで、
“音楽を愛する未来”を一緒に作りましょう。