学園祭学園の青木佑磨です。
狂乱のクラウドファンディング初日を経て、浮き足立つでもなく「うーん、夢だなぁ」と首をかしげる当人を眺めながら日々を過ごしております。「夢みたいだなぁ」ではなく「夢だなぁ」なのが鷲崎さんらしい。
おかげさまでアルバムも返礼品たちも世に出ることが確定しましたので、今まで以上に気合を入れて仕上げに入ります。本日は自分が関わっている返礼品のひとつ、「鷲崎健楽曲大全[2003-2023]」の内容をチラ見せ!
■「鷲崎健楽曲大全[2003-2023]」とは?
一部コースの返礼品に含まれる、鷲崎健の楽曲にまつわるインタビュー本。鷲崎健名義でリリースされたアルバム及び番組テーマソングや提供曲について、ライターとしても活動する青木佑磨がロングインタビューを敢行しております。
収録内容は2003年にリリースされたインディー盤のソロアルバム『アコースティックギターオタクブルース』から、1st〜4thまでのオリジナルアルバムを経て、最新では2023年の提供曲「夏雲color」までを予定しております。(※作曲のみの提供は今回除外しております。)
今回はその導入部分、1stアルバム『Silly Walker』よりトラック1「Silly Walker」についてのインタビューを公開いたします。以下のような内容が20年分たっぷりお楽しみいただけますので、ぜひご期待ください!
■Silly Walker
鷲 「Silly Walker」と「世界は二人のために」は確か初披露した日が同じだったんじゃないかな。「Silly〜」ばっかり褒められて、ちょっと不満だった(笑)。
--「Silly〜」は当時のファンからしたら褒めやすかったんですよ。アコギ1本で歌っているのを初めて聴いて、鷲崎さんには珍しくバンプオブチキンを感じるくらいの若々しさがありましたし。
鷲 あんなのなかったからね。バンプを意識したのかと言われるとわからないけど、今思えば確かにバンプだった。
--その後弾き語りだとジャズ的にアレンジされたバージョンで披露されることが多いので、元となったあの疾走感のある曲をなぜ書いたのかを聞けてないんですよ。
鷲 そういうロックぽいやつが作りたかったんだろうね。シリーウォークのモチーフもそこまで必殺として使った記憶もないし……でもちょっと大仰に、自分のテーマソングであれかしと思って書いたのは確かだと思う。じゃないとこうはならないんじゃないかな。でも鷲崎さんそんなに大事にしてない感あるよね。
--まさに。テーマソングなのに大事にしてなさそうだから、あんまり「この曲ってつまり」的な質問ができていなくて。
鷲 この頃は出力が高かったんだよね、きっと。書こうと思ったときに言葉とメロディーの端っこを捕まえたら、「書けちゃった」んだと思う。
--テーマソングたるためのモチーフがしっかりあって、ポアロ的な雰囲気もあるように感じます。
鷲 確かにそうかも。それでいてやっぱりこれは恥ずかしげもなくバンプだったんだと思う。バンプを聴いてバンプがよくて、バンプみたいなものを作りたかったんじゃないかなぁ。だから恥ずかしいんだよ。作ってみて、上手に作れたけど、バンプみたいだから恥ずかしいなって。でもちょっと気取ってんね、キザな部分がある。同じ時期に作ってたから、「アラビアのうたのように」と「異国の歌の旋律のような」がちょっと繋がってたり。
--今の自分としてこの曲を聴いてどう思います?
鷲 めっちゃ格好いいね。めっちゃ格好いい曲だと思うから、俺より上手い人が歌えばいいのに。
--ある種鷲崎さんのテーマソングなのに。
鷲 そうは言うけど、本当はそんなことはなくて。誰もが歌っていい曲だと、普遍だと思って書いた気はする。なんならこれ三人称だし。「俺はシリーウォーカー」って言ってないんだよ。あいつはシリーウォーカーでそれを眺めてる歌だから、俺の歌のようで誰かを歌ってるんだ……そういう逃げも含めて書いたんだね。
--あの頃の鷲崎さんて感じもしますね。老成しているようで実は素直じゃない。
鷲 その上でキャッチーであろうともしてるし。そんなの当たり前なんだけど「評価されたい」があって、今この年齢でそれを抜けた。あのアコギな夜の小さな世界のお客さんたちに、「うわ格好いい!」って言われたかったんだと思うよ。あの頃は客全員の顔が見えてて、あいつとあいつが今日もいるなみたいにわかってたから。