
『ティコの冒険』は上山徹郎先生にとって、初のフルデジタル作画作品でした。そのため、原画展と言っても、飾るべき原画が存在しません。「なのに、なぜ原画展?」と不思議に思われる方も多いと思いますが、正確にいうと【デジタル原画プリント出力+絵コンテ+下絵の3点セットのアートワークス展】というプロジェクトのご提案です。
生原稿には、デジタル原画では味わえない価値があります。ホワイトの修正痕だったり、トーン指定のメモ書きだったり、ベタ部分の塗りムラさえも、手仕事の一端がわかるとして喜ぶ方もおられます。ただし、それは作家としてはあまりお伝えしたくない舞台裏でもあります。そういう意味では「版下」だったわけです。版下だった原画は、先生やアシスタント以外では、担当編集者や印刷所の数名の現場スタッフしか見ることがなかったわけですから、とても貴重なものでした。
今回は、同じように表舞台に出てこなかった「絵コンテ(ネーム)」と「下絵」を展示しようと考えています。
上山先生の「絵コンテ」はB4用紙に8P分が書かれていて、1P分はわずかB7の大きさしかありません。セリフも一部は書かれていて、コマ割りもされている、ミニチュアの世界に書かれた、漫画の設計図のようなものです。作家は好みのやり方でネームを書かれるので、今回公開されるのは、「上山徹郎流の絵コンテの世界」となります。
そして、「下絵」は手書きの時代には残されずに姿を消してしまうものです。鉛筆書きされた下書きに、ペン入れされ、やがては完成原稿に形を変えていきます。なかには、下絵をコピーして残す方もおられますが、下絵自体は完成原稿となるのが一般的だと思います。フルデジタルといっても、最初からパソコン上で描かれていない場合は、スキャニングの素材として「下絵」が残ります。原画だって版下扱いされていたわけですから、この下絵が残されているのは、稀有なことかもしれません。上山先生クラスの描き手だと、下絵もペン画も素晴らしい出来ですが、下絵段階の絵の方が生き生きとしているように感じることが多いです。書き損じを恐れず、線に躊躇いがないせいかもしれません。
「絵コンテ」や「下絵」を見ているのは作家本人とアシスタント数名、担当編集者しかいません。上山先生の場合は、アシスタントを使われていませんので、この世に二人しか見ていないことになります!! とてももったいないことだと思いませんか。
昔、新米編集者だった頃に、当時担当していた先生から出来立ての完成原稿を受け取って帰社する電車の車中で、抱えた原稿ケースの中身を、隣り合わせた乗客に見せたくなる欲求に駆られたことがありました。締め切りに追われ、時間と競争する綱渡りのような日々であっても、面白い作品に漫画編集者として関われるのは誇らしいことでした。ぜひ、ファンの皆さんとも、同じ興奮を分かち合いたいと思います。ご支援よろしくお願いします。
目標金額は300万円です。
プロジェクトの実行方式はAll-in方式で実施し、目標金額に満たない場合も計画を実行し、返礼品をお届けします。

上山徹郎先生の初フルデジタル作画作品『ティコの冒険』の絵コンテと下絵を一冊の本にまとめます。アシスタントは使われず、おひとりで描かれており、下絵は編集者の私も初めて見ました。鉛筆画のタッチも楽しめますし、完成原稿と見比べられ、ひとつの作品で二度楽しめたのは新しい発見でした。








初めての試みとなるため、『ティコの冒険 上山徹郎のアートワークス 絵コンテ篇+下絵篇』印刷版は、完成までに何度も変更を加えながらの作業になると思います。プロジェクトページに掲載している書影もダミーです。先日、先生から、絵コンテや下絵だけでなく、解説を加えたいとご提案がありました。願ってもない話なので、即答で了解しました。提案された先生ご自身も、どんな形になるか、分量もわからない状態でのスタートです。PODの特性ですが、折単位の印刷でないため、ページ数の制約がありません。サイン会に間に合わなければ困りますので、先生にお願いしたのは締切厳守の一点だけです。

1993年、『機動剣士ガンボーグVZ』で第25回小学館新人コミック大賞児童部門・藤子不二雄賞入選。『電人ファウスト』で連載デビュー。代表作『LAMPO-THE HYPERSONIC BOY-』、『隻眼獣ミツヨシ』ほか。寡作ですが、圧倒的な画力、魅力的な世界観やキャラクター造形、迫力あるアクションシーンは、高い評価を集め、多くのクリエイターに影響を与えました。


a.『ティコの冒険』上山徹郎のアートワークス展ご招待+『ティコの冒険 上山徹郎のアートワークス 絵コンテ篇+下絵篇』印刷版+イラストしおり2点セット

5,500円(税込・送料込)
お届け予定日 2026年1月
*『ティコの冒険』上山徹郎のアートワークス展
会場:弘重ギャラリー(東京都渋谷区恵比寿南2-10-4 ART CUBE EBIS B1F)
会期:2025年12月23日(火)~27日(土)
開催時間:開場11時30分~閉場19時(最終入場18時30分)
※受付でお名前をお知らせください。
※12月28日(日)は、bコース限定サイン会を開催します(aコースでの入場は不可)
*『ティコの冒険 上山徹郎のアートワークス 絵コンテ篇+下絵篇』印刷版
B5判 ソフトカバー(本文206P予定)並製本(別カバー・帯はつきません)
B5判は雑誌大のサイズです。掲載の書影はダミー画像です。デザイン変更になる可能性があります。前回作ったハードカバー版に収録していたピンナップ、設定資料はありません。漫画本文の「絵コンテ篇」40Pと「下絵篇」160P、上山先生の解説記事を収録します。
印刷版の書店販売は、リアル書店・ネット書店ともに行いません。書店流通のためのISBNコードも付番いたしません。電子書籍化する可能性はあります。
巻末に、支援者様のご希望のお名前を掲載します。
50音順掲載しますので、「読み仮名」ご記入もお忘れなく。掲載のご希望が英数のみ、かな表記のみでも構いません。掲載不要の場合は、「掲載不要」とご記入ください。英数のみ、かな表記のみの方は、読み仮名の記入欄にも英数やかな表記をご記入ください。読み仮名の掲載はありませんので、ご安心ください。
市販用に電子書籍化された場合、お名前の掲載はされません。
*イラストしおり2点
イラストしおりは、『ティコの冒険』ハードカバー版のピンナップイラストと漫画本文の下絵(掲載はサンプル画像で、実物は異なる可能性もあります)をB6判のクリアカードに印刷した下敷き状のものです。
b.『ティコの冒険』上山徹郎のアートワークス展ご招待+『ティコの冒険 上山徹郎のアートワークス 絵コンテ篇+下絵篇』印刷版サイン会ご招待+イラストしおり2点セット【100名さま限定】

11,000円(税込・送料込)
お届け予定日(郵送時) 2026年1月
※限定数が早々に完売した場合、追加販売する可能性がございます。
*『ティコの冒険 上山徹郎のアートワークス 絵コンテ篇+下絵篇』印刷版サイン会
アートワークス展最終日の28日に、サイン会参加者限定のサイン会を開催いたします。
先生が印刷版に直筆サインを書き入れ、手渡していただきます。「為書き(支援者様のお名前等)」は致しません。
イラストしおり2点も当日会場にてお渡しします。
会場:弘重ギャラリー(東京都渋谷区恵比寿南2-10-4 ART CUBE EBIS B1F)
開催日:2025年12月28日(日)
開催時間:13時~15時予定
※参加人数により時間は変更される可能性があるため、コースお申し込みの方には事前にご案内を差し上げます。
開場時間:11時30分〜
※11時30分より会場内にてサイン会の受付を開始します。受付順にサイン会のお声がけをいたします。
会場までの旅費(交通費・宿泊費)はご支援者様各自のご負担となります。
当日、ご都合が悪く不参加となったご支援者様には、登録ご住所に後日、サイン本としおりを郵送いたします。
作者の体調不良、悪天候等の理由で、手渡し会を順延する場合がございます。
c.『ティコの冒険』ハードカバー版【限定数:8冊】

5,500円(税込・送料込)
B5判 ハードカバー(本文168P)上製本(別カバー・帯はつきません)
お届け予定日 2025年11月
B5判は雑誌大のサイズです。
前回プロジェクトで販売した印刷版の交換対応用に作った予備分の未出荷在庫品ですが、在庫僅少のため、後日、輸送事故等での交換対応ができませんので、予めご了承ください。
また、新たにご購入いただいた方のお名前の掲載はできないため、お名前掲載ご希望の場合は、今回の『ティコの冒険 上山徹郎のアートワークス 絵コンテ篇+下絵篇』印刷版の巻末のサポーターリストに掲載させていただきます。
ご希望のお名前で50音順掲載しますので、「読み仮名」ご記入もお忘れなく。掲載のご希望が英数のみ、かな表記のみでも構いません。掲載不要の場合は、「掲載不要」とご記入ください。英数のみ、かな表記のみの方は、読み仮名の記入欄にも英数やかな表記をご記入ください。読み仮名の掲載はありませんので、ご安心ください。
市販用に電子書籍化された場合、お名前の掲載はされません。
d. 直筆サイン入り複製原画・ピンナップイラスト(天地260mm・左右340mm)+作品証明書

・額装なし 27,500円(税込・送料込)
・アルミフレーム額マット装済み 38,500円(税込・送料込)
・木製額マット装済み 49,500円(税込・送料込)
お届け予定日 2026年2月
作品証明書は制作番号(申込順)、購入者様ご指定のお名前(無記名も可)が記載されたものになります。
e. 直筆サイン入り複製原画・表紙イラスト(天地320mm・左右460mm)+作品証明書

・額装なし 33,000円(税込・送料込)
・アルミフレーム額マット装済み 44,000円(税込・送料込)
・木製額マット装済み 55,000円(税込・送料込)
お届け予定日 2026年2月
作品証明書は制作番号(申込順)、購入者様ご指定のお名前(無記名も可)が記載されたものになります。
f. 直筆サイン入り複製原画・モノクロB4原稿(天地364mm・左右257mm)+作品証明書

・額装なし 16,500円(税込・送料込)
・アルミフレーム額マット装済み 27,500円(税込・送料込)
・木製額マット装済み 38,500円(税込・送料込)
お届け予定日 2026年2月
MANGATRIXで刊行してきた上山先生の各著作のご希望のページを受注生産します。
弊社で刊行されていない作品(他社作品、未収録作品等)や「隻眼獣ミツヨシ」は対象外です。
お申し込みの際に、作品名、巻数、ページ数をご記入ください。
募集期間終了後に、個別にご連絡を差し上げます。その際、制作ミスを避けるため、ご希望ページの画像を写メ等でお送りいただきます。
作品証明書は制作番号(申込順)、購入者様ご指定のお名前(無記名も可)が記載されたものになります。
g. 直筆サイン入り複製原画・モノクロ見開き原稿(天地364mm・左右ナリユキ)+作品証明書

・額装なし 33,000円(税込・送料込)
・アルミフレーム額マット装済み 44,000円(税込・送料込)
・木製額マット装済み 55,000円(税込・送料込)
お届け予定日 2026年2月
MANGATRIXで刊行してきた上山先生の各著作のご希望のページを受注生産します。
見開き原稿はB4原稿2枚を合体させていますが、複製原画では1枚に作り直して制作します。左右が若干調整されているため、原画原寸での制作となります。
弊社で刊行されていない作品(他社作品、未収録作品等)や「隻眼獣ミツヨシ」は対象外です。
お申し込みの際に、作品名、巻数、ページ数をご記入ください。
募集期間終了後に、個別にご連絡を差し上げます。その際、制作ミスを避けるため、ご希望ページの画像を写メ等でお送りいただきます。
作品証明書は制作番号(申込順)、購入者様ご指定のお名前(無記名も可)が記載されたものになります。
【海外からのご支援について】
プロジェクトページのパートナー(購入者)向けのFAQにも記載がありますが、原則、日本国内からの購入をお願いしております。
なお、日本国内に住民票をお持ちで、かつ日本国内発行のクレジットカード(Visa/Mastercard/JCB/American Express)または、PayPalでのお支払いをご利用いただければ、国外からでもお申し込み可能ですが、お返しのお届け先は、必ず日本国内の住所のご入力をお願いいたします。
>>>Regarding purchases from overseas<<<

⚪︎『ティコの冒険 上山徹郎のアートワークス 絵コンテ篇+下絵篇』印刷版の制作費(スキャニング・製版・印刷・製本・用紙代)、イラストしおりの制作費、送料、梱包費
⚪︎『ティコの冒険 上山徹郎のアートワークス 絵コンテ篇+下絵篇』印刷版の著者印税
⚪︎『ティコの冒険 上山徹郎のアートワークス 絵コンテ篇+下絵篇』印刷版の編集費(主にデザイン報酬)
⚪︎複製原画の著者印税、制作費、額代、額装代、送料、梱包費、作品証明書の制作費
⚪︎『ティコの冒険』アートワークス展の会場費、額代、額装代、輸送費

クラウドファンディング募集期間 2025年8月29日(金)20:00 ~ 2025年10月30日(木)23:59
入稿・校了 2025年8月~10月
印刷・製本 2025年11月~12月
発送 2026年1月
複製原画の制作 2025年11月~12月
複製原画のサイン書入れ・額装 2026年1月
複製原画の発送 2026年2月
※上記予定に遅延が生じる場合は、うぶごえのレポート機能などでお知らせいたします。

同時進行している『隻眼獣ミツヨシ 完全版 第2巻』のブロジェクトがありますが、ご存知のように飾るべき原画がないため、前回は『電人ファウスト』『LAMPO』の原画を持ち出して、手渡し会の会場を原画展にしました。支援者の皆さまを長時間お待たせするのが申し訳なかったこともありますが、原画の持つ魅力を楽しんでいただきたいという思いもありました。原画が版下扱いされていた時代は、作家や編集者、ごく限られた人間しか見ることもなく倉庫や本棚に仕舞い込まれ、その存在さえ忘れ去られていました。そのため、かえって保存状態が良かったりするのですが、これほどもったいないことがあるでしょうか。今後も原画が散逸や経年劣化してしまう前に、できるだけ多くのファンの皆さんに見ていただきたいと思っています。
だからといって、2巻3巻も、『電人ファウスト』『LAMPO』で原画展を繰り返すのも芸がないので、今回は原画展を行わないつもりでいました。先生にお伝えしたところ、驚くようなお答えが返ってきたのです。「『ティコの冒険』の絵コンテがありますけど、代役は務まりませんか?」差し出された絵コンテをお借りして帰宅する車中は、「どうする?」と、与えられた宿題のことで頭がいっぱいでした。
デジタル全盛の時代になって「飾るべき原画のない時代にファンとの接点をどう繋ぐのか」と、以前から頭を痛めていました。デジタル作画されたものをプリントしても、それは複製原画の展示にしかなりません。ファンは、好きな作家作品の手仕事の証を見たいはずなので、「複製原画展」では意味がないかもしれない、と考えていたのです。
後日「パソコンに取り込む前の下絵は残されていませんか?」と先生にお問い合わせました。ペン入れされる前の下絵は、作家以外の手が一切入っていない、純然たる「先生の手仕事」の結晶です。鉛筆書き状態なら、むしろ線が生き生きとしていて、手仕事のタッチまで堪能できます。こうして今回の「絵コンテ+下絵」を加えた「アートワークス3点セット」の展示企画が生まれました。
さらに妄想は広がります。「下絵だけの本は面白くないだろうか」長編だと大変ですが、『ティコの冒険』は1巻ものです。ハードルも低いんじゃないか、原画がない時代でも、アイデアがデータに結実する前段階には絵コンテや下絵があるので、その価値を認めてもらえれば、新しい展開も期待できます。版下が「貴重な原画」に生まれ変わるのと一緒です。
思いつきがうまくいくかどうかはわかりません。試行錯誤のくりかえしです。今回の「アートワークス」プロジェクトは『隻眼獣ミツヨシ完全版 第2巻』から生まれた副産物です。今、私の手元には、先生からお借りした絵コンテと下絵200枚+&があります。完成品と見比べると、微妙に配置が変わっていたり、サイズ変更のメモ書きがあったりします。アクションシーンでは、鉛筆書きの荒々しいタッチまで楽しめます。最初は、読みやすいようにネームは電子フォントに置き換える計画でしたが、「先生の手書きのネームのまま、ファンの皆さんにお見せしたい」と考えは変わりました。『ティコの冒険』は最初から最後まで、実験作となる星のもとに生まれた作品なのだと思います。

©️上山徹郎/MANGATRIX