昨日、「悪魔が来りて笛を吹く」の復刻披露上映会は盛況のうちに終了しました。
これもひとえにパートナー様のご支援があったからこその賜物と心より感謝申し上げます。
今後も新旧関わらず、名作を皆さんに観ていただく取り組みを続けて参りますので、引き続きご支援の程よろしくお願いいたします。
以下ご参考までに上映会当日の報告レポートです。
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~70年の時を経て大スクリーンに蘇る~
片岡千恵蔵主演『悪魔が来りて笛を吹く』(1954年公開)復刻披露上映会当日レポート
1950年代の名作映画「悪魔が来りて笛を吹く」がついにデジタル復元され、クラウドファンディングのパートナーの方への返礼品として2025年1月26日に復刻披露上映会を実施いたしました。
上映会当日は、横溝正史の小説や片岡千恵蔵の映画に関するトークセッションも開催いたしました。ステージには本作のフィルムの寄贈者であり、二松学舎大学教授山口直孝氏と東映太秦映画村を運営している株式会社東映京都スタジオの元社長で、立命館大学映像学部教授でもある山口記弘氏が登壇しました。山口直孝氏は横溝正史研究の第一人者で日本の近代・現代小説について知見が深く、また山口記弘氏は東映に長年在籍し、時代劇をはじめとする日本の映像産業史に精通しております。そんな「ダブル山口教授」によるトークセッションでは「修復状態、巧妙なストーリー展開、トリックの妙や文学評価、当時の時代背景や撮影にまつわる話、片岡千恵蔵の人柄や演技の幅広さ、横溝小説が映画化された経緯や撮影環境」等が語られ、を本作上映会を更に盛り上げてくれました。
【展示内容】
・復刻ポスター8点(悪魔が来りて笛を吹く、三本指の男、獄門島、獄門島解明篇、犬神家の謎、八ツ墓村、三つ首塔、悪魔の手毬唄)
・完成台本(復刻)、制作台本(原本)
・プレスシート
上記の他にもスチールやPVの放映などで展示を彩りました。
また、この上映会に際しまして、『悪魔が来りて笛を吹く』(1954年公開)の原作者である横溝正史氏の次女 野本瑠美氏と、主演・片岡千恵蔵のご子息である東映株式会社植木義晴取締役からコメントをいただきましたのでご紹介いたします。
【野本瑠美氏コメント】
このたび、多くの方々のご協力と技術の結晶によって、かつての映像が修復されたこと、お慶び申し上げます。たまたま原作が父の作品であったということで、この場に参加できることを大変仕合わせに思っています。ありがとうございます。
作品の映画化について、父はトリックと解決が守られていれば、どのような表現であっても監督さんにお任せしますと申しておりました。映画には小説と異なるよさがあるというのが、父の考え方のようでした。
父の仕事に対する姿勢と言いますと、寝ても覚めても没入没頭というのでしょうか、触れればビリリ電気が走ランカという感じで、〆切が近くなれば髪振り乱して帯は解ける、羽織が脱げても歩き回るというありさま。けれど一旦想がまとまりペンを持ったら、家族はバンザーイとばかり声を上げて喋ることができました!
トリックにしろストーリーにしろすべて読者と対決姿勢で、どうだ解けたか、面白いだろうという創作態度だったように思います。また連載小説でしたから、次の号へ興味をそそるテクニックも工夫を凝らして読者を引っ張っていたように思います。
取材も調査もしませんから、目にするもの耳にするものすべてを使って、父自身の知識と想像力によって構築していく姿は、常に火を噴いているようでした。
映画の金田一耕助の扮装については、世相が現われていると楽しんでいました。
市川崑氏の作品では耕助役の石坂浩二氏が美男でインテリっぽくて、扮装は作品の再現であってもといぶかしく思っていたらしいのですが、撮影を見学した折にボヤが発生し、石坂氏が駆けつけようとしてバケツに躓いた様子を見て、これはイケるとにんまりしたと聞いています。
『悪魔が来りて笛を吹く』、この作品はまさに想を得て組み立てていくほとんどすべてを家族みんなが知っておりますので、とても親近感のある作品です。また書き上げて間もなくの映画化作品に今日触れることは、とても不思議な巡り合わせと思っております。
【植木義晴氏(東映取締役)コメント】
私は本作を観た事が無かったので今回このような機会を頂き初めて観ることが出来て嬉しく思います。改めて、今回フィルムを見つけて頂いたこと、そして多くの方に大スクリーンで観ていただくことが出来たこと、また、クラウドファンディングでご協力いただいたパートナーの方々へ、片岡千恵蔵の息子として心より感謝申し上げます。よく家族で父親の映画を観ましたが、私としては俳優・片岡千恵蔵ではなく1人の父親なので「失敗しないかなぁ」と心配でなかなか感情移入できなかったことを思い出しました。
本作は70年も前の作品と言う事で愛のあるクラウドファンディングのパートナーの方は私よりも年配の方が多いのかなと思っていたのですが実際に本日の上映会で拝見したところ、多くの方が私よりも若く、そして国内だけでなく海外の方も今回パートナーとして協力していただいているという事を知りました。
過去の映像資産を現代に蘇らせる取り組みは、当時を知らない今の世代、そして海を越えた海外の人たちへも当時の東映、そして日本映画の良さを知っていただくことが出来る素晴らしい取り組みだと思います。
私は日本航空(株)に長年勤めてきた中で、日本の素晴らしさを海外の方に見つけていただく事があるという事を実感しています。なので、日本の過去の偉大な映像資産を現代の技術で蘇らせて日本国内、そして海外にも大きく広げていってほしいと東映の取締役として思います。
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