
愛媛県松山市、道後温泉のほど近くに位置する四国八十八ヶ所霊場第51番札所・石手寺は、2028年に創建1300年の節目を迎えます。その節目に、文化財の修復や境内の整備を目的とした「再生プロジェクト」を開始いたしました。
プロジェクトの趣旨
本プロジェクトでは、神仏やお大師さまをお祀りするにふさわしい、心安らぐ快適な空間を提供するため、大規模な境内全体の環境整備を行います。
また、元祖遍路として知られる石手寺は、愛媛県・松山市の文化拠点として、多くの人々が訪れる魅力的な場所となることを目指し、さらなる発展を遂げてまいります。
お返しの品一覧
ご支援いただいた皆さまへ、感謝の気持ちを込めて寄進額に応じた特別なお返しの品をご用意しています。
■ 感謝動画メール
■ 感謝状
■ オリジナル御守り(三重塔の瓦入り)
■ オリジナル御朱印(どいぶき板を使用)
■ 石手寺オリジナルグッズ
■ 石手寺の文化財写真集(昭和56年製)
■ 特別祈願の護摩祈祷・木札(小~大/永年願い置き)
■ HP掲載
■ 寄進板設置(参道沿い/小・中・大・特大)
■ 景観木・景石の奉納
くわしくは、後ほどの「お返しについて」の章をご覧ください。
石手寺について

石手寺には、国宝「二王門」をはじめとする鎌倉時代の趣を残す建築物が今も多く残されています。地元の方々はもとより、巡礼の旅を続ける多くの方々にとっても、祈りと癒しの場として親しまれてきました。そして、2028年には、創建1300年という大きな節目を迎えます。
この歴史あるお寺を、これからも人々の心の拠り所であり続けるために、私たちは「再生のプロジェクト」を立ち上げました。なぜ再生なのか?については、プロジェクトをやろうと思った理由の章にて後述します。
2028年に創建1300年という大きな節目に向けての長期にわたるロング寄進プロジェクトと、具体的なテーマをその都度目標として掲げる短期のショート寄進プロジェクトを同時に立ち上げます。
ロング寄進プロジェクトでは定番となっている人気のお返しをご用意。ショート寄進プロジェクトではその時節にあわせたお返しの品なども毎回新たなものを追加でご用意しようと考えています。
応援メッセージ
胡 光(えべす ひかる)
愛媛大学四国遍路世界の巡礼研究センター長/法文学部教授
四国遍路開創1200年記念の年にあたる2014年には、四国4県で行う記念展覧会に合わせて、石手寺の総合調査をさせていただきました。全国的にも珍しい「大勝金剛図」や、愛媛県指定文化財の菩薩・天童面が描かれた練り供養絵巻の発見など大きな成果を上げ、同寺の歴史や伝統文化のすばらしさを再確認しました。まもなく創建1300年を迎える同寺には、国宝二王門をはじめ国指定文化財の建造物が多数存在します。そのひとつ、重要文化財三重塔の足場に前御住職と登り、相輪の穴を確認したことを昨日のことのように思い出します。貴重な歴史を刻んだ建造物を伝えていくには、多くの皆様のご理解とご協力が必要です。どうか、四国遍路開創の歴史を伝える石手寺の整備に、ご支援賜りますよう、お願いいたします。
小野龍光さん
悩ましさや苦しさにぶつかりながらも、なぜ生きるのか、どう進めば救われるのか。
その答えを求めさまよい、歩んできた道のうちに、答えは生まれていく。
そうした悩みながらも前に進むという生き様は、次の世代で悩ましく生きる人々へ、希望として紡がれていく。
「最初のお遍路さん」として石手寺に伝説としてのこる衛門三郎の生き様は、このような教えを、祈りとともに石に託し、私たちに手渡してくれている。石は、その希望の姿であると感じてます。
そうして希望を手にし歩き続けてきたたくさんの先人たちの歩みが、石手寺とお遍路の文化を、1000年以上もの長きにわたり現代にまで運んでくれた道のりとなってきたのでしょう。
物が豊かにあふれる現代でも、生きる悩ましさはなくなりません。
ですが、私たちは、衛門三郎はじめたくさんの先人たちから手渡されてきた「善き未来への希望」という石を手にできている。
そうして手渡された希望を勇気に変えて歩んでゆけば、私たちにも明るい道は拓けてゆき、また次の誰かの希望へと手渡していく側にまわってゆけるのでは。
この先の1000年も、人々が善き未来を祈り前へ進み、その希望と勇気を次の人々へと手渡していきますよう。
心の火を灯し続ける姿が続きますよう。
それを支えるお遍路という文化、その一つの象徴としての石手寺も、守り紡がれていきますよう。
今回のプロジェクトは、そんな想いと祈りが集まる機会になりますよう。
その恩恵を頂いた小さき一人として、ささやかながら願い祈っております。


石手寺の境内全体を整え、「美しくして次の世代へ手渡したい」。その想いこそが、このプロジェクトの出発点です。
取り組みは、以下のステップで進めていきます
■ まずは「整理」から
・不要なものを取り除く
・役目を終えた建物を解体
→ 祈りの場にふさわしい清浄な空間を取り戻します。
■ 倉庫の整備
・かつて幼稚園や無料宿坊として使われていた建物を活用
・雨漏りやシロアリ被害による老朽箇所を補修
・不要物を整理し、必要な物品や判断が難しい物の一時保管場所として整備
→ 境内の整理と什物管理の拠点とします。
■ 清掃ステーションの新設
・掃除道具の収納
・ごみの仮置き場
・清掃スタッフの休憩スペース
→ 祈りの場を維持するための基盤づくりをします。
■ インフラ整備の見直し
・治水対策
・防災・防犯設備の更新
・バリアフリー対応の路面整備
→ 貴重な文化財を守るため、安全で快適な環境を整えます。
■ 樹木の整備
・杜(もり)は自然の遷移に応じて手を入れる
・庭は場の雰囲気を育てる意図をもって整える
・植樹の際は、この地にゆかりのある樹種を選ぶ
・大木は、よほどの理由がない限り伐採を避ける
→ 木が、しかるべき場所で、のびやかに生を全うできるよう整備します。
■ 什物(じゅうもつ:寺に伝わる道具や備品)の管理と保全
・什物リストを作成
・重要度と破損状況をもとに、優先順位をつけて修復
・文化財指定の什物はもちろん、未指定でもお寺として大切なものは丁寧に保管・管理
→ 長い歴史の中で受け継がれてきた宝物を、未来へつなぎます
■ 建物の修復・整備
優先順位の高い建物から順に、段階的に修復・整備を進めてまいります。
【代表的な風景の整備後イメージ】
まだ確定ではありませんが、現在の風景(左)を、将来的には右のイメージのような風景に近づけていきたいと考えています。












石手寺を、「訪れやすく、守りやすい」場所へ。
誰もが安心して手を合わせられる、そんなお寺を目指してまいります。

石手寺は、愛媛、四国、そして世界のお遍路文化を象徴するお寺です。
しかし、私が初めて訪れたときに抱いたのは、「物がごちゃごちゃしていて、荒れているな」という印象でした。

先代住職は「草木も生き物だから、切ってはならない」と語っておられました。その教えのもと、草木が自由に生い茂るままにされてきた結果、落ち葉が積もり、文化財を含む多くの建物の傷みや腐食が進行しています。現在では、シロアリの問題や損傷が目立つ箇所が多いです。
マントラ洞窟入り口
また、建物以外の物品についても、新旧さまざまなものが混在し、そもそもの意図が不明なものも少なくありません。また、文化財や信仰の対象として価値のあるものと、そうでないものの区別が曖昧で、何が本当に大切で、何を未来に残すべきかも明確になっていません。その結果、管理がいきとどかず、境内全体の美観を損ねる要因となっています。

もちろん、自然のままを大切にする気持ちも尊いものです。ただ、祈りの場として、訪れる人が静かに心を整えられるような空間づくりも、それと同じくらい大切だと私は感じています。それこそが、私がこの代で石手寺を継がせていただいた理由であり、使命でもあると考えています。

実際、ひと昔前の境内の写真には、物が少なく、整然とした凛とした美しさが映し出されていました。
さらに、2029年には世界遺産登録に向けた史跡指定が予定されています。そうなれば、境内の改修や整備には多くの制約がかかることが予想されます。だからこそ、創建1300年という節目を迎える「今こそ」が、環境整備に取り組めるラストチャンスとも言えるタイミングなのです。
什物の整理や治水対策、防災・防犯など、インフラ面にも課題は山積しており、日々の運営の中で見えてきた改善点は数えきれません。
私は、この現実から目を背けることなく、正面から向き合い、次の世代へ確実にバトンをつないでいきたいと考えています。
なぜ、石手寺が「再生」を掲げるのか――

それは、四国遍路の元祖ともいわれる衛門三郎(えもん さぶろう)の「再生の伝説」と、深いかかわりがあるからです。
かつて、愛媛の地に、河野家の一族である衛門三郎という豪族がいました。家は裕福でしたが、三郎は強欲で神仏を敬わず、慈悲の心も持たぬまま、私利私欲にまみれた日々を送っていました。
ある日、一人の僧が托鉢(たくはつ/布施を乞う仏道修行)に訪れた際、三郎は怒り、竹ぼうきで僧の鉄鉢を叩き割ってしまいます。鉄鉢は八つに砕け散りましたが、その僧こそ、弘法大師・空海(こうぼうだいし・くうかい、以下「大師」)であったのです。
その翌日から、三郎の八人の子が次々に命を落とします。過ちに気づいた三郎は、大師への懺悔の念から田畑を処分して財を家人に分け与え、妻とも別れ、大師を探し出して謝罪するため旅に出ました。これが、四国遍路の起源とされています。
しかし、二十回巡礼を重ねても大師に会うことはできず、二十一回目には、札所を逆に巡る「逆打ち」を始めました。
その旅の途中、徳島の第十二番札所・焼山寺のふもとでついに力尽き、倒れてしまいます。すると大師が現れ、「望みはあるか」と問いました。三郎は「来世も河野家に生まれ、人々の役に立ちたい」と言い残し、息を引き取ります。
大師はその願いを受け、ひとつの石に「衛門三郎」と刻み、三郎の手に握らせました。

翌年、河野家に生まれた男の子は、右手をかたく握ったまま開こうとしませんでした。寺で祈願が行われたところ、その手の中から「衛門三郎」と刻まれた石が現れたのです。
この石を寺に納めたことにより、当寺の旧名「安養寺」は、三郎の再来伝説にちなみ「石手寺」へと改められました。
こうした伝説が宿る寺だからこそ、私はこの石手寺の境内も「再生」できると信じています。
お茶堂にある大師自作の大師像。50年に一度ご開帳される
しかし、お寺だけの力では、時間も資金も人手も限りがあります。
この石手寺は、地域の顔であり、また遍路の象徴でもある場所です。
だからこそ、みんなでお金を出し合い、力を合わせてこの寺を盛り上げていきたい——その思いから、この“再生の歩み”を皆さまとともに進めたく、今回、クラウドファンディングという形を選びました。

私は大学卒業後、一般企業での勤務を経て、東京・大阪にてIT関連の会社を10年間経営してきました。

そのなかで、いわゆる“俗世の酸いも甘いも”を経験してきました。一時は、「人の役に立ちたい」という思いで始めた事業が実を結び、社員は20名ほどで業界トップクラスの成果を上げることもできました。
しかし、結果を出し続けなければならないという焦りやプレッシャーから、何もできない自分への不安が募り、やがて本来の目的を見失っていきました。思うような成果も出せず、自分を追い込み続けるうちに、次第に心がすり減っていったのです。
さらに、コロナ禍によるリモート中心の働き方のなかで人間関係が希薄になり、心の調子を崩してしまいました。
修行(加行)を終えたあとの、自信に満ちた晴れやかな表情
そんな折、義父である前住職の逝去を機に、事業を手放し、出家を決意しました。2021年秋に得度し、真言宗豊山派本山・長谷寺での修行を経て、2024年夏より石手寺第45代住職に就任しました。
それ以降は、前職で培った知識を生かし、WEBページの改修やSNSの開設などを通じて、新たなブランドイメージの構築に取り組みました。
以前のホームページ
現在のホームページ
もちろん、僧侶としてお寺でのお勤めや行事、お遍路への参加も行います。



さらに、お寺の仲間たちとともに、信徒の皆さま、大成建設や建築士・三浦史郎さん(旅館「Azumi Setoda」設計者)、僧侶・小野龍光さん(元IT起業家)、(株)MIKAN-DESIGNさん、そして県・市の文化財課の皆さまにご協力を得ながら、境内マスタープランの作成・整備など、ひとつひとつの課題に丁寧に取り組んできました。
マスタープラン(全体)の一例
マスタープラン(各所の景観イメージ)の一例
建物一覧
各お堂の調書の一例
具体的な取り組みとしては、2024年夏より、重要文化財である三重塔と鐘楼の修復工事を開始しました。

元IT起業家・小野龍光さんとともに現地調査
鐘楼屋根の葺き替えは、2025年2月に完成しました。(三重塔は2026年2月に完成予定です)

また、建物や什物の価値の確認と保護をするために、什物リストの作成や、モノを置く倉庫をつくるための工事をします。
什物リストの一例
倉庫の整備をしている様子
このクラウドファンディングは、そうした日々の積み重ねを、次の段階へと進めるための大きな一歩です。

皆さまからのご支援は、以下のような用途に大切に使わせていただきます。
・文化財建築(二王門、三重塔、鐘楼、護摩堂、本堂、訶梨帝母天堂)の修復
・非文化財建築(お茶堂、阿弥陀堂、大講堂)の修復・整備
・老朽化した建物や不要物の撤去
・庭木の剪定や境内の景観整備
・防災・防犯設備のリニューアル
・治水対策工事
・山門前回廊の修復と周辺店舗の整備
・什物の整理・保管(倉庫の改修・運搬・評価など)
・返礼品の製作および発送費用

ご支援いただいた皆さまには、感謝の気持ちを込めて、以下の返礼品をご用意しています。
■ 感謝動画メール

ご支援への感謝を込めて、住職からの動画メッセージをメールにてお届けいたします。映像を通じて、石手寺とのご縁を感じていただければ幸いです。
■ 感謝状 
感謝を込めて感謝状をお届けいたします。お一人おひとりのお力添えが、石手寺の再生を支える大きな原動力となっております。
■ オリジナル御守り(三重塔の瓦入り)
長年にわたり三重塔を風雨から守ってきた瓦の一部を中に収め、丁寧にご祈祷した特別なお守りです。
■ オリジナル御朱印(どいぶき板を使用) 
三重塔の瓦の下に敷かれていた土居葺(どいぶき)の板に、特別な御朱印をお書きします。
時を重ねた板に、祈りの証を刻む――石手寺ならではの一枚です。
※画像はイメージです。
■ 石手寺オリジナルグッズ

ご支援の感謝として、石手寺オリジナルのグッズをお届けします。
手ぬぐい・巾着・袈裟・作務衣・今治タオルなど、日々の暮らしの中でお寺とのご縁を感じていただける品々です。
※内容は随時決まり次第、順次ご案内いたします。
手ぬぐいイメージ
■ 石手寺の文化財写真集(昭和56年製)

昭和56年に制作された、石手寺の文化財を収めた貴重な写真集です。当時の境内の様子を今に伝える、歴史的価値のある一冊となっています。
■ 特別祈願の護摩祈祷・木札(小~大/永年願い置き)

重要文化財である護摩堂にて、祈祷師が不動明王さまに所願成就を祈願いたします。ご支援金額に応じて、加持(仏さまの力を込める)をする木札の大きさや、願いを永年にわたり護摩堂にてお納めする「願い置き」かが変わります。
■ HP掲載

ご寄進者様のお名前を、石手寺公式ホームページにてご紹介いたします。広く感謝の意をお伝えするとともに、ご支援の記録として2025年9月1日〜2028年12月31日まで残してまいります(ご希望により掲載を辞退いただくことも可能)。
■ 寄進板設置(参道沿い/小・中・大・特大) 
まずは仁王門前に、寄進者様のお名前を刻んだ「寄進板」を設置し、2028年夏以降には参道の屋根へ永年設置いたします。ご支援金額に応じて板の大きさが異なり、祈りとご縁を未来へとつなぐ証となります。

■ 景観木・景石の奉納

ご支援者様のお名前を、景観木や景石に刻み、石手寺の境内に永年奉納させていただきます。
1300年の歴史を歩んできたこの地に、「生きた意志」を刻む――未来へと受け継がれる、特別なご寄進のかたちです。

・2025年2月:鐘楼修復完了
・2025年4月末〜:クラウドファンディングおよび広報活動開始
・2025年11月〜:老朽建築物の撤去、環境整備開始
・2026年2月:三重塔修復完了
・2026年3月:第45代住職晋山(就任)式
・2026〜2028年:各建築物の修復・建設を順次実施
・2028年秋冬:創建1300年記念大法要および報告会開催

第45代住職を務めております藤井俊良(ふじい・しゅんりょう)です。1300年という祈りの時を刻んできた石手寺。時に荒れ、時ににぎわいながらも、いつの時代も人々の心にそっと寄り添ってきました。
石手寺は、お遍路の元祖・衛門三郎の伝説が息づく「再生の寺」。私自身、俗世で疲れた心を癒し、再び歩み出す力をもらいました。
だからこそ、この場所が、誰かにとっての「再生の場」となってほしい——心からそう願っています。
そして今まさに、1300年の節目を迎えるこの時が、「再生のタイミング」です。この大切な機会に、ともにお寺を、美しく、お参りしやすい空間へと生まれ変わらせていきましょう。
どうか、この取り組みに、お力をお貸しください。一人でも多くの方とともに、石手寺の再生の歩みを進めていけることを、心より願っております。

熊野山 石手寺
〒790-0852 愛媛県松山市石手2-9-21
TEL 089-977-0870